
25歳、スタートアップでエンジニアとPMを兼ねる近藤日向さん。かつては上司から、ここもっとこうしたらいいんじゃない、と言われるたびに、相手が責めたわけでもないのに自己否定へ走り、仕事が手につかなくなっていた。一社目を1年半で辞めてフリーランスになってもしんどさは変わらず、意識の高い動画の言葉を毎日書き写し、日記を1年間続けたが、結局バーンアウトしてしまう。
転機になったのは、コーチングで出会った「事実と解釈」という考え方だった。同じ出来事に沼らなくなったとき、年収は500万円から700万円に上がり、業務委託からPM・正社員へ。10年ぶりの恋人までできたという。何が解釈のクセを解いたのか、その軌跡を語っていただきました。


相手は責めていないのに、僕の解釈で沼っていく

━ コーチングを受ける前は、どんな状態だったんですか?
行動するとなった時に、本当はやりたくないけどやる、みたいな感じでした。コーチングで使う言葉でいうと、人の行動の95%は無意識で、有意識は5%だと言われるんですが、僕はその5%だけでずっと動いていた感覚です。だから、ずっと疲弊していました。
きつさの正体は、自分の中のブレーキでした。行動しようとするたびに、目上の人の目線が気になって足が止まる。上司から、指摘ですらなく、ここもっとこうしたらいいんじゃない、と言われた時にも、ひどく落ち込む。相手が僕を責めようとしたわけじゃないのに、僕が変な解釈でより沼っていく。自分にできないことがあるのは当たり前なのに、毎回の指摘のたびに、自分は結果を出していないのかな、と自己否定に走っていました。
一度落ち込むと、仕事は手につかなくなります。家に帰っても、そのことが頭の中でずっとループしている。それでも目の前の仕事はやらなきゃいけないので、感情を無視して頑張る。そして疲弊する。その繰り返しでした。
━ 状況を変えようと、試していたことはありましたか?
環境は変えました。一社目を1年半ぐらいで辞めて、フリーランスになったんです。でも、始めて半年後ぐらいにはもう「めっちゃきついな」と思っていて。会社員の時から結構しんどかったので、職を変えても変わらなかった。そして2月に、バーンアウトしてしまって。仕事が辛くて、もう何もしたくない。それなのに、仕事を頑張りたい気持ちは消えていないんです。その2つが同時にある状態でした。
自分なりの努力もしていました。YouTubeで意識高い系の動画に出てくる単語を毎日見て、ノートに書く。日記もいいと聞いたので、夜に紙に書くのを1年間ずっと続けました。でも、根本的な解決には至らなかった。今思えば、全部「意識のレイヤー」でやっていたのかなと思います。根っこの無意識はネガティブな感情のままで、そのまま行動している。95%は変わらないのに、5%を変えようとしている感覚でした。
職を変えても、しんどさは変わらない。変えるべきは無意識の方だった
━ そこからコーチングにたどり着いたのは、どういう流れだったんですか?
知り合いに「無意識95%・有意識5%」の話をざっとしてくれた人がいて、それを聞いた時に、あれ、これ自分の課題を解決してくれるかも、と思ったんです。ちょうどその頃にミズカラのYouTubeを拝見して、まさに同じテーマの動画が流れてきたんです。おすすめ欄にも何度も出てきました。無意識を書き換えればうまくいくのかなと思って、体験セッションを受けました。
申し込む時の怖さは、僕はなかったです。お金が減るよりも、このまま変わらないことの方が怖かった。こんなに歯を食いしばって頑張っているのに、全然結果が出ない。当時は本当にそう思っていたので、少しでも変化が起きて自分を変えられるならいいな、と。
━ 体験セッションで、印象に残っている言葉はありますか?
色々試行錯誤しても現状が何も変わらなかった僕に、最後の方で言われたのが、今のまま行ってもこのまま横に進むだけだけれど、コーチングを受けることで現状に変化が起こって差分が生まれる、という話でした。あれは深く刺さりましたね。
ただ、理屈で納得したというより、体験セッション自体が本当に良かったんです。受けていく中で、テンションが上がる、明るい気分になるというのが2時間の間でもわかって。単発じゃなくて、ちゃんとやっていけば成果が出るかもしれない。それが自分の感情の変化でわかったので、これはいけるかもしれないと思いました。
エンジニアの仕事に夢中になれない。夢中だったのは、人と話す時間
━ 受講中、一番「これだ」と確信できたのはどんな場面でしたか?
自己機能の明確化ですね。あれはピンときました。自己分析系はもともと好きで、ああでもないこうでもないと色々やってきたんですけど、初めてこれだと確信を持てたのが自己機能でした。
事実に基づいて振り返っていくと、夢中になれる業務は、インターン生のメンタリングや顧客との接触でした。学生時代のアルバイトでも、お客様対応や、新しく入ってきた方の指導。ほとんど全部、人と話すことだったんです。一方で、メインのエンジニアの業務は、夢中になれない側にほとんど全部入っていました。そこで見えてきたのが、自分が本当に感動しているものを人に伝えている時、自然と夢中になれるという自己機能でした。
※「自己機能」とは:スキルや職種名ではなく、「自分が自然と夢中になれる行動を通じて、社会にどんな価値を提供しているか」を言語化した、本来的な自分の強みのこと。
━ そこから、どんなGOALを設定したんですか?
定性のGOALは、自然体でいる自分を軸に置きました。僕は自分の感動を伝えている時、無理に伝えようとしていないんです。本当に感動しているから、自然体でいる。その状態をGOALにしました。
コーチングで使うエフィカシー(GOALに対して自分ならやれるという自己効力感)は、この時期にかなり上がったと思います。ただ、全部うまくいったわけではなくて。GOALを決めたら、そこに向けた行動を毎回決めて、実行していくんです。その一つでYouTubeをやってみたんですが、撮影して編集して投稿するのがこんなにきついのかと思って、1本あげてやめました。それもやってみてわかったことでした。
「その“MORE”、実は“GOOD”だよね」。事実を見たら、僕はできていた
━ マインドが書き換わったのは、どのタイミングだったんですか?
多分、その行動を振り返るところですね。毎回、できたこと(“GOOD”)と、もっと良くできること(“MORE”)を書き出していくんです。僕のシートは、最初は“MORE”がめっちゃ多くて、“GOOD”が全然少なかった。今思えば、無意識のうちに“GOOD”を書いちゃいけないと思っていたんですよね。
例えばSNSで投稿するという行動を振り返った時、“MORE”の欄に、投稿した後の効果的な動きができておらずただ投稿しているだけだ、と書いていました。そうしたら担当コーチから、まず前提として投稿はしているよね、と言われて。そこの“GOOD”を受け取った方がいい、と。毎回のように、その“MORE”って実は“GOOD”だよね、と返されました。
ここで効いたのが「事実と解釈」という概念でした。投稿したというのは事実じゃないですか。でも、効果的な行動ができていなかったというのは解釈の話なんですよね。担当コーチから、事実にフォーカスしましょう、それは解釈ですよね、という介入があって。事実を見た時に、あ、これ確かに自分ってできてるよね、と思えたんです。
これは受講前の話と全部つながっていました。上司からの指摘も、事実だけ見たら、もっと良くしようという提案でしかない。僕はそこに、否定されたという解釈を自分で足していたんです。
━ 頭でわかっても、切り替えるのは難しくないですか?
そうなんですよね、本当に難しかったです。だから毎日意識していました。業務の最中も、これって事実なのかな、解釈なのかな、と。ちゃんと切り分ければ、ネガティブがバッと入ってくることがない。悩むこともないかもな、と思うようになってきました。
もう一つ、今でも大切にしている関わりがあります。行動を振り返るようになってから毎回聞かれるのが、今の自分は何点だと思いますか、という質問でした。僕は最初、60点ですかね、70点ですかね、と答えていたんです。そうしたら担当コーチから、実は今の自分は100点満点だと考えて、次はその100点を102点にするにはどうすればいいか、という考え方にするといいですよ、と言われて。目から鱗でした。100点でいいんだ、と思って。
行動そのものは、受ける前からしていなかったわけじゃないんです。変わったのは、行動する時のマインドでした。それが毎回のセッションで書き換わっていって、行動が軽くなっていく。それは体感としてはっきりありました。
格上の人にもサッと聞けるようになった。仕事も、10年ぶりの恋愛も動いた
━ マインドが書き換わって、行動と仕事の結果はどう変わりましたか?
人に頼れるようになりましたね。自分よりレベルが高い人、結果を出している人に質問するというのが、自然とできるようになりました。今まで「恐れ多い」と思って行動できなかったのが、結構サッとできるようになった。恐れ多いの正体は、結局、否定されるのが怖いということだったと思います。今は、何か言われたとしても、別に人格を否定しているわけじゃないし、普通に良くなっていくならいいよね、と。
ポジションも変わりました。当時は完全にプレイヤーだったんですが、去年のどこかのタイミングで、任せられるからという感じで、PMをやってみよう、となりました。今までは評価を気にするので、相談もしにくかった。それが、オープンに自信を持って、事実にフォーカスして伝えられるようになったので、任せてもいいんじゃないか、と思ってもらえたのかなって。
当時は業務委託だったので、全然契約を切ることもできたと思うんです。前の自分だったら余裕でクビになってたかもな、と。でも今は社員になっていて、年収も500万円から700万円くらいに上がりました。社長は距離が近くて、受講前は、覚悟とか自信が足りないね、と言われていました。それが今年の3月の1on1では、もう言うことは何もないね、と。
━ 仕事以外でも、変化はありましたか?
これだけは言っておきたいんですけど、人間関係も変容しました。恋愛です。僕は25歳なんですけど、彼女が最後にできたのが高校の時で、それ以降ずっとできていなくて。でも、先月できたんですよね。仕事の悩みは社会人になってからの3年間ですけど、彼女ができたのは10年来の悩みだったので。仕事よりも大きいかもしれないです。
それより前は、自分を作っていた感があるかもしれないですね。でも、そんなことをする必要はなくて、自然体で自己機能を発揮していればよかった。自分自身を100%受け容れられるようになったからこそだと思っています。
今の自分は100点満点。解決策は、自分の外側にあった

━ 今も続けている考え方はありますか?
今の自分は100点満点だから、それを102点にするためにどんなアクションができるかな、というのを、今でも頭の中で繰り返しています。ちょっとネガティブに入りそうになった時も、当時は当時でベストな選択をしたし、今の自分が100点満点だから次どうするか考えよう、と。結構、無意識で考えられるようになっているのかなと思います。会社の月次会議でも点数をつけるんですけど、その時も、どんな結果だったとしても100点です、と言うようにしていますね。
━ 受講を迷っている方に、伝えたいことはありますか?
僕が受けて思ったのは、今頑張っている人は、結局「自分の頭の中」で頑張っているんですよね。自分の頭の中で十分に解決策を探しているのに答えが出ないということは、解決策は自分の外側にあるということだと思うんです。だからこそ、誰か別の人の考え方を取り入れる必要がある。
その中でコーチングは、認知科学に基づいていて、科学的根拠があった上でアドバイスや内省の機会をもらえる。それは本当に価値があるものなので、受講してみるといいなと思いました。



