近年、技術進歩や様々な産業の発展によって、目まぐるしく世界の情勢が変わっている。「VUCA時代」「働き方改革」「AI・ロボット技術の進歩」など、時代と環境の変化から日本のキャリアに対する考え方も大きく形を変えた。
そのような時代の変化のなか、令和4年5月に経済産業省が公表した「未来人材ビジョン」では、国内の産業構造や労働需要の変化が加速していることが説明され『日本の未来にどのような人材が必要なのか』という「日本の未来にとって重要な人材の指針」が示された。
なぜ今政府がこのような指針を発表したのか。それには明確な理由がある。
日本は、上記図でもわかるように、1992年時点で国際競争率が1位と経済大国であった。しかし、2021年には中国に追い越され、あっという間に31位にまで落ちてしまっている。
さらに、2050年の日本の生産年齢人口は、2020年の2/3まで減少するという予測もある。いわゆる日本で「人口減少・超高齢化・気候変動」などの問題が悪化すると懸念されている2050年問題の一つだ。
つまり、生産人口はより一層減少していくことが確約されている現状において、単純に「1人あたりの生産性を高めよう」ではなく、人口減少によって下がっていく生産性の幅以上の圧倒的な幅で高めていかない限り、日本経済を維持向上することはできないということなのだ。
「このような時代を牽引していく人材」「未来を支える人材」が必要だからこそ、政府は「未来人材ビジョン」を打ち立てたのだ。
この記事では「未来人材ビジョン」をもとに、これからの時代に求められる人材像を読み取っていく。
「未来を支える人材」が求められている日本の労働市場
これからの時代に必要となる能力やスキルは、基礎能力や高度な専門知識だけではない。「未来人材ビジョン」では、次の社会を形づくる若い世代に対して求められる根源的な能力や姿勢が示されている。
「未来人材ビジョン」で示された、これからの時代に必要となる能力やスキルは以下に記載した通りだ。
・常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力
・夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢
・グローバルな社会課題を解決する意欲
・多様性を受容し他者と協働する能力
2015年時点の仕事において重要な能力は、「注意深さ・ミスがないこと」「責任感・まじめさ」などであった。
しかし、事務処理や正確さが求められるタスクは、将来的にAIやロボットに取って代わられる可能性が高い。デジタル化を筆頭とした産業構造の変化により、AIやロボットにはない「問題発見力」「的確な予測」「革新性」などの能力が、未来を支える人材に求められている。
なぜ「未来を支える人材」が求められているのか
「VUCA時代」「働き方改革」「AI・ロボット技術の進歩」「デジタル化」「脱炭素化」などによる産業構造の転換は、各産業の労働需要に大きなインパクトを与える見込みだ。変化の早い現代において、あらゆる人が時代の変化を察知し、能力やスキルを絶えず更新し続けなければ、今後さらに加速する産業構造の転換に適応できない。
これからの時代には、いままでの常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出せる人材が求められているのだ。
「未来を支える人材」を育成・確保するために重要な方向性が示されている部分を紹介しておく。
”人的資本経営という変革を通じて、日本社会で働く個人の能力が十二分に発揮されるようになれば、日本社会がより一層、キャリアや人生設計の複線化が当たり前で、多様な人材がそれぞれの持ち場で活躍でき、失敗してもまたやり直せる社会へと、転換していく。”
つまり、「日本全体で個人のパフォーマンスが最大化され、一人一人がキャリアおよび人生に対して多様的な設計と活躍ができるようになることで、日本人を応援し続けられる社会に転換していこう」という趣旨である。
加えて、日本企業特有の賃金・人事制度の前提とされていた「成長の継続」が見込めなくなった結果、1990年代からは日本型雇用システムの限界が指摘されていた。この状態は今に始まった話ではなく、多くの人がその現実に気づき始めている中で、いよいよ国全体に対して懸念の狼煙を上げたのだ。
上記図の通り、日本人は企業に対する帰属意識が低く、現在の勤務先で働き続けたいと感じる人は諸外国と比べると少ない。
しかし、約半数の人が今後のキャリアチェンジを考える中、転職や起業など実際に実行している人は圧倒的に少ない。
心や頭では現状を変えたいと思っていても、動けていないのが今の日本の現状だ。このように、日本人一人一人の行動や現状に変化が起きない限り、日本社会は現状維持の道をたどる。その危機を打破するために、日本政府は「未来人材ビジョン」を打ち出したのだ。
「問題発見力」「的確な予測」「革新性」「的確な決定」この4つの力を獲得した「未来を支える人材」によって、日本の企業が抱える課題を解決できれば、生産年齢人口の減少による従業員の減少や国際競争率の低下などの課題を乗り越えられる、と政府は考えている。
「未来を支える人材」になるためには
では、これからの時代に求められている「未来を支える人材」になるためにはどうすればよいのだろうか。「未来人材ビジョン」で示されている能力やスキルの本質を、認知科学の観点から以下のポイントに整理した。
・無意識の部分の自己理解
・自己認識力
・個別欲求(Want to)の理解
・主体性が発揮されるGOAL設定
・自己決定力
・セルフリーダーシップ
・セルフコーチング
上記の能力があれば「未来を支える人材」に必要な「問題発見力」「的確な予測」「革新性」「的確な決定」の4つの能力・スキルを得られ、どんな時代になろうと求められる人材となるだろう。もはや「日本をよくしたい」という社会意識が無くとも、自らの人生/仕事に向き合い未来人材ビジョンが提唱している人材として生きていれば、自ずと勝手に日本の未来を支えていく人材となっていく。
「未来を支える人材」に必要な能力やスキルの本質は、全てキャリアコーチングで培うことができる。
キャリアコーチングは「無意識の部分の自己理解」を深め、本来の自分を認識する「自己認識力」を高めることから始まる。そこから自分の「個別欲求(Want to)の理解」や「自己決定力」などを身につけ、自分の理想のGOALに向かうための「自己決定力」「セルフリーダーシップ」「セルフコーチング」を獲得する。
キャリアコーチングで身につく力はまさに「未来を支える人材」に必要な能力やスキルの本質部分であり、これからの時代に求められる力を得るには、コーチングが必要不可欠だといえる。
株式会社ミズカラでは、キャリアコーチングを通して日本の未来を引っ張る人材に必要な能力を提供している。コーチングを受けて「未来人材ビジョン」で求められている本質的な力を習得した人の声は以下の通りだ。
次の時代に必要な力を身につけ、これからの日本を支える人材へ
経済産業省が公表した「未来人材ビジョン」では、これからの時代に必要とされる能力やスキルが発表された。これからの日本を変革していくうえで重要な能力であり、今の時代を生きる全ての人々の必修科目といえるだろう。
日本を取り巻く様々な社会課題を解決し、変化が早い時代を切り開く人材の確保は急務であり、キャリアコーチングが日本社会に担う役割はますます大きくなっていくと考えられる。