仲が良いのに成果が出なかった税理士法人。メンバーが社長を追い越し149%成長の自走組織になるまでの8ヶ月

プロフィール

辛島政勇さん
PlusA税理士法人 代表/業界歴20年以上
大阪本店・愛媛松山支店/税理士法人(従業員約50名)

辛島政勇さんがPlusA税理士法人の代表に就いたのは3年前のこと。当時の組織は離職が続き、担当先の負担が次々と他のメンバーにのしかかる悪循環の中にありました。辛島さんはまず「人が辞めない組織」をつくり上げます。
しかし、人間関係は良好なのに成果に結びつかない、という新たな壁にぶつかります。組織コーチングを導入した8ヶ月後、法人の年商は149%に。きっかけは、社長である辛島さん自身が「置いてかれた」と感じた瞬間でした。その軌跡を語っていただきました。




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目次
松田 皓太 株式会社ミズカラ CEO

経営・マーケ戦略の専門家。銀行、Salesforce社などの大手外資系Saas会社に従事した後、マーケティング領域の会社を起業・売却。その後株式会社ミズカラに参画し、CEOとして戦略立案や組織設計を担う。

村岡大樹 株式会社ミズカラ CPO

外資系製薬を経て、パーソナルジムの急成長を牽引。2021年に起業し、翌年GOAL-B(現ミズカラ)に参画。CSOとして組織改革を担った後、代表就任。受注16億超を達成し、現在はCPOに交代。著書『自分の変え方』を出版、累計5万部を突破。

人間関係が良い組織が、なぜ成果を出せなかったのか

代表に就任した時、最初に直面した壁は何でしたか?

私が代表になって実質的に動き出したのは、3年ほど前のことです。当時のPlusAは、正直に言うと人が辞めていく組織でした。誰かが辞めると、その担当先が他のメンバーに振り分けられる。そうすると今度はその人たちがしんどくなって、また辞めていく。この業界ではよくある話なのですが、その悪循環がずっと続いている状態だったんです。

辞めていく理由は大きく2つありました。1つは単純な業務過多。もう1つは、会社が言っていることと実際にやっていることが違う、というギャップです。そこに絶望して辞めていく人が、少なくありませんでした。

だから私が最初に掲げた目標は、とにかく「人が辞めない会社にする」ことでした。年間で何人採用するかをメンバー全員と約束して、税務以外の業務は整理し、本業に集中できる体制をつくりました。コミュニケーションを何より大切にすることも、みんなと約束したんです。

人が辞めなくなってからも、課題は残りましたか?

元々、人間関係が悪い組織ではなかったので、コミュニケーションが取りやすくなって、人も増えて、辞めなくなっていきました。環境という意味では、本当に良くなっていったと思います。

ただ、ここで新しい壁にぶつかりました。事業承継のチームやM&Aのチームをつくって、みんながやりたいことをやっていく。それなのに、なかなか成果に繋がらないんです。

今になって振り返ると、あの頃のうちは、どちらかというとサークルに近かったのかもしれません。仲が良くて、一緒に飲みに行って、なんとなく「今が楽しいからこれでいい」という空気がありました。でも私からすると、成果に繋がらなければ、結局みんなの環境を本当の意味で変えることはできない。このままではまずい、という焦りが、ずっと私の中にだけありました。

研修では変わらなかった。半年後にようやく踏み出した理由

以前にも、研修やコーチングを試したことはありましたか?

ありました。まだ私が代表ではなく、マネージャーだった頃に、会社としてよく研修を導入していたんです。特に多かったのがマネージャー研修でした。

ただ、その中身は「マネージャーは嫌われてなんぼだ」「嫌なことでも言え」というような、昔ながらの中間管理職の役割を説くものでした。私はずっと「何か違うな」と感じていました。でも役割だから、自分でも納得しきれないまま、なんとか伝えるしかなかった。その違和感は、ずっと消えませんでした。

コーチングも一度受けたことがあります。その時に言われたのは、傾聴と承認でした。承認を意識的に増やすようなことをやってみたのですが、元々うちは関係性が悪くない。承認したからといって、何が変わるんだろうと。結局、何も変わらなかったというのが正直なところです。

それでも、ミズカラに問い合わせるまでには時間がかかったそうですね。

きっかけは、ミズカラのYouTubeでした。見た瞬間に「これだ」と思ったんです。自分がずっとモヤモヤしていたものが、すごく論理的に説明されていて。

ただ、すぐに動いたわけではありません。当時、役員も含めて幹部が8人ほどいたのですが、賛同してくれたのは2人くらい。残りは反対でした。私自身も、やろうか、やめておこうかと、半年ほど迷い続けていました。

最終的に背中を押されたのは、「Day1 Day2」という仕組みがあると知ったことです。いきなり長期契約ではなく、まず2日間ですべてを体験できる。それなら一度やってみよう、と問い合わせに踏み切りました。

1日目は反応が薄かった。2日目の午後に何かが変わった

実際にDay1 Day2を受けてみて、最初の印象はどうでしたか?

Day1 Day2は、2日間でみっちりやります。会社のGOALを設定して、それを達成するための戦略と戦術まで設計する。時間にすると、12時間から14時間ほどでしょうか。

実を言うと、1日目が終わった時点では、不安の方が大きかったです。メンバーに「どうだった?」と聞いても、「うーん……」という反応で。これは大丈夫かな、と内心思っていました。

ところが、2日目の昼過ぎくらいからでしょうか。空気が明らかに変わってきたんです。みんながやたらと熱量を持ち始めて。何が起きているんだろう、と私の方が戸惑うくらいの変化でした。

「10億いける」と言い出したのは、メンバーだった

2日目の後半、具体的に何が起きたんですか?

GOALを設定する場面でした。私たちはその時、「2年後の年末に10億」という目標を掲げることになりました。それを言い出したのが、私ではなかったんです。

他のメンバーたちが「10億、いけるやろ」と口々に言い始めて。私はと言えば、むしろ少し置いてかれているような感覚でした。「えっ、本当にいけるのか?」と一瞬思ったくらいです。

でも、みんなが「やれる」という空気になっている。それなら、いこうか、と。2日間が終わった後、全員に「どうだった?」と聞いたら、全員が「やりたいです」と答えました。誰か一人でも迷っていたら、また違ったかもしれません。でも、本当に全員が「やりたい」と言った。だからスタートを決めたんです。

経営者が設定したGOALを、現場のメンバーが超えてくる。ミズカラが担当するクライアントでは、8割ほどがこうなると後から知りました。けれど、当事者として体験すると、これほど驚くことはありませんでした。

本契約が始まってから、コーチの関わりで印象に残っていることはありますか?

進めていく中では、当然うまくいかない時期もあります。壁にぶつかって、みんなのテンションが落ちる。私自身も「これ、本当にいけるのかな」と揺らぐことがありました。

そんな時に印象的だったのが、担当してくれたコーチの姿勢です。誰よりも、私たちのGOALに執着してくれていました。「今夜23時半、ミーティングどうですか?」「日曜日のこの時間はどうですか?」と、深夜でも休日でも厭わず時間を作ってくれる。

私たちのGOALなのに、私たち以上に本気で向き合ってくれている。その姿を見ていると、こちらが引っ張られるんです。コーチがここまでやってくれているのだから、もう一回やろう、と。体現している人がそばにいることの力を、あの時ほど感じたことはありませんでした。

実際のセッションの密着取材動画はこちら

崩壊するかと思った時期を超えて、組織の前提が変わった

1年半の中で、いちばん大変だったのはどの時期でしたか?

どんな組織でも、最初は必ず結果が出ると思うんです。やり切れていなかったことが山ほどあって、それをやるだけで数字が伸びていく。いわば貯金を使っている状態です。

問題は、その貯金がなくなった後でした。うちの場合は3ヶ月ほど経った頃です。マネージャーが燃え尽きたようになって、何をしていいか分からない、元気もない。正直、「このまま崩壊するんじゃないか」と一瞬思ったほどです。

その時に効いたのが、「できるかもしれない」と思える材料を集めることでした。業界で高い評価を受けている事務所のサービスや単価を徹底的に調べて、メンバーに共有したんです。「うちの金額はこうだけど、このレベルのサービスでこの単価で走っている会社があるよ」と。前提そのものを、少しずつ書き換えていきました。

印象的だったのは、いちばん苦しい時期に、マネージャーたちがGOALを下げることを「嫌だ」と言ったことです。こんなに悩んでいるのに、下げようとしない。GOALが、いつの間にか自分たちのものになっていたんだと思います。そこから組織は、もう一度上を向き始めました。

幹部だけでなく、メンバーにも変化は広がっていったのでしょうか?

ここは、時間がかかった部分です。最初は幹部だけがDay1 Day2を受けていたので、直接受けたメンバーとそうでないメンバーの間に、どうしても温度差が生まれました。

例えばコーチングで使うエフィカシー(GOALに対して自分ならやれるという自己効力感)という言葉を私たちが口にすると、メンバーは距離を取ってしまう。「何それ」という空気になるんです。

転機になったのは、全社会議などで「エフィカシーとは何か」をメンバー自身に学んでもらったことでした。さらに組織コーチングを1年続けた後、希望するメンバーがコーチングそのものを学べる研修も実施しました。7割から8割のメンバーが参加してくれて。「そういうことだったのか」という腹落ちが広がってから、組織の中で言葉が本当の意味で通じるようになりました。


投資対効果については、どう感じていますか?

正直、最初に問い合わせた時は、想定していた額よりだいぶ高いと感じました。他のメンバーも「さすがにどうだろう」という反応で。

でも私の中では、課題がはっきりしていて、これを入れれば解決できるという確信度が高かった。だから、必ず回収できると思っていました。結果として、最初の3ヶ月だけでも数字ははっきり出ました。8ヶ月で年商は149%に。今ではメンバー全員が「あれをやって良かった」と言っています。

税務会計の枠を超えた先に見えてきたもの

加速したPlusAは、今後どこへ向かっていくのでしょうか?

今年の年始に、幹部で2日間の合宿をしました。定性的な目標を、マネージャー全員で、自分たちの言葉で、違和感がなくなるまで作り込んだんです。

そこで出てきたのが、「税務会計だけにとらわれない」という方向でした。私たちのクライアントは、中小企業がほとんどです。そのお客様に一番近いところにいる私たちが、税務会計の枠を超えて、経営課題そのものを解決していく組織になる。これを今年、やりきろうと決めました。

YouTubeを始めることにしたのも、その延長にあります。うちのような若い組織が、税理士事務所でこれだけ主体性高く動いている。それは文字ではなかなか伝わらないけれど、動画なら空気ごと届けられる。そう考えて、今、動き出しているところです。

この取り組みの振り返りを、PlusA税理士法人の社員のみなさんが動画で語っています。

辛島さんが語ったYouTubeチャンネルは、こちらで公開されています。https://www.youtube.com/@pulsazeirishihoujin

PlusA税理士法人の事業内容はこちら
PlusA税理士法人 コーポレートサイト


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この記事を書いた人

山宮健太朗のアバター
山宮健太朗 株式会社ミズカラ 代表取締役兼CRO

認知科学コーチングの専門家、トップコーチ。在学中はJリーグの下部組織でキャプテンを務める。2020年に株式会社ミズカラ(旧GOAL-B)に参画し、2021年にCOO(最高執行責任者)に就任。個人向けコーチングで累計500名以上の実績を持ち、組織コーチングで30社以上に支援を行う。サポート企業の6ヶ月の平均売上成長率は130%を超える。

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